大切なのは引き算だと最近は思うんだよ。

僕の音楽のベースになっているのは、間違いなくバッハです。

親にピアノ教室に連れて行かれて最初に好きになったのはバッハのメヌエットだったし、ピアノの譜面台にはいつも最低一つはバッハの楽譜が乗っかっていた。
というか、現在進行形で乗っかっている。

僕にとってのバッハの良さは、そのシンプルな構成にある。

当たり前のことだけど、音の組み合わせは無限にあるわけで、表現の手法は無限に存在する。
曲を書くときはその無限の選択肢から自分の表現を切り取っていくのだけれど、色々な音楽を聴いてくると無駄にどんどん詰め込みたくなってくる。

ギターを何重にも重ねて、

ピアノを何回も部分録音しまくって、

実際にプレイできない、ありえない難易度のドラムを打ち込んで、


でも、そうやって詰め込んでいくと、全然伝わらなくなる。
どんどん輪郭がぼやけていく。

だから、出来る限りシンプルにすることを最近は心がけている。


日曜日に久石譲さんのラジオ番組がやっていた。

その中で、久石譲さんも「最も強い音楽はシンプルな音楽だ」って言っていた。

僕の最近の感覚がずれていなかったのかな、と思えて嬉しかった。


逆に、音楽を聴くときも最近はシンプルさを追及しています。
シンプルじゃないと何か疲れちゃうんですよね・・・。
足し算で表現しようとするのは、誰にでも出来る気がするんです。
だって付け足せばいいんだもん。

そのアーティストの本当の実力が問われるのは、引き算が出来るかどうか。
シンプルな音で同じことを語れるかどうか。
最近はそう思うのです。



だから、ずっとバッハは色褪せない。